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登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスがパロディにしているのはバブル時代でなく現代社会である

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登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスが話題になっている。
 


【TDC】バブリーダンスPV 登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Club

 
昨年あたりから、平野ノラ、ブルゾンちえみwithBとバブルをパロディにした芸能人が人気になっている。トレンドは30年周期でリバイバルされるという現象の通り、2017年は1987年のリバイバルがもてはやされ、1990年のバブル全盛期に呼応するように2020年の東京オリンピックを待ち構える日本社会は、株価も20,000円台の大台に乗り、あたかもバブル再来という雰囲気となっている。
 
失われた20年しか経験していない若者たちからすると、バブル時代の現代日本とはまるで異なる価値観が新鮮であり、ユニークに映るのだろう。
 
そして、それをバブルを経験した親たちとその子供たちが話題にすることでバブルリバイバルブームが生まれている。
 
そのような中、登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスが生まれた。このMVの面白いところは一見、バブルをパロディにしているように見えて、実は現代社会のパロディとなっているところである。
 
バブル時代のダンスと登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスを比較してみるとわかるが、登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスは追い立てられるようにすべてのダンサーが機械的な動きで踊っている。これは、バブルの時代には見られなかった動きである。
 
ジュリアナのダンス映像をみるとわかるが、この頃はまだ各自が自由なスタイルで踊っている。
 
 
ディスコでのダンスが画一的な動きになっていったのはパラパラの時代からである。腰で踊ることをやめて手で踊りだした。盆踊りもそうだがこの手の踊りは日本の踊りに特有の動きである。
 
つまり、日本社会はバブル崩壊までは個人を尊重する傾向が見られたが、その後、急速に日本回帰が始まり、また全体主義的傾向に変化し始めたといえる。
 
バブル時代というのは同時に校内暴力が最も問題となった時代でもある。
学校という全体主義的価値観を押しつけられ、それに対する反発がカルチャーを生み出した時代でもある。
 
90年代に入り、校内暴力は急速に解消されていった。圧力をかける学校という存在がなくなっていった。皮肉なことに、それと同時に全体主義への回帰が始まった。
 
登美ケ丘高校ダンス部のバブリーダンスはプライベートな活動であり、誰から全体主義を押しつけられたわけでもない。しかし、ダンサーたちは北朝鮮マスゲームのように画一的な踊りをしている。
 
そこには、バブルのような狂乱の喜びの雰囲気を感じながらも、本当に狂乱に興じてよいのかどうか不安で仕方がない深層心理が表現されているといえる。彼女たちが自由なスタイルで踊り始めた時、日本は再度、狂乱の日々を迎えるのかもしれない。