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90年代はウォウウォウの時代だった

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90年代はとにかくみんながウォウウォウと歌っていた。
 
面白いのがこれが80年代でなく、90年代であるということだ。
 
なぜ、90年代の歌詞にウォウウォウが多いのか。

 


H Jungle with t / WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント

 
 
 
 
 
 
一言でいうとバブルが崩壊したからである。
 
日経平均株価は1991年に最高値をつけたあと、崩壊する。
 
バブル崩壊とは、急激な不況が訪れたようにも見えるが、実際は、90年代を通して、好景気の雰囲気と不況を象徴する出来事がグラデーションのように世の中を変えていったという表現のほうが正しい。
 
よく指摘されるが、ジュリアナ東京が運営していたのは1991年から1994年までで、お立ち台ギャルというのは、バブル崩壊後の現象である。
 
もう一つ象徴的なのが週刊少年ジャンプの発行部数で、最大の部数である653万部を達成したのが1995年で、日本のCDセールスが最高を誇ったのは1998年である。
 
週刊少年ジャンプのキーワードは、「友情」「努力」「勝利」で、1995年まで週刊少年ジャンプの発行部数が増え続けたのは戦後の高度経済成長を支えた男性原理が有効に機能していたからである。
 
ドラゴンボールも、ろくでなしブルースも、聖闘士星矢も、幽遊白書も、とにかく、敵を倒し、倒した敵が仲間になり、さらなる強い敵が出てきて、努力と友情を大切にすれば、勝利が得られるというバブル景気の価値観が世の中を支えていた。
 
その頃、歌謡曲からJ-POPと名前を変えた音楽シーンで、みながウォウウォウと叫んでいたのはそういった男性原理に基づく現象であったと分析できる。
 
ウォウォウとはWarであり、雄であった。
 

 

ぼくらの七日間戦争

ぼくらの七日間戦争

 

 

大人たちは経済戦争にあけくれ、子供達は大人との戦争に青春を捧げた。
 
1986年に男女雇用機会均等法の施行により、男性原理から男女平等へ法律は変わるのだが、そう簡単に世の中は変わらない。
 
男たちはウォウウォウと叫び、ボディコンの女たちはお立ち台の上で、ジュリ扇を降り続けた。
 
1995年のオウム真理教事件阪神大震災を機に、バブルの熱狂が終わった。
 
2000年を目前に控え、90年代に天下をとることができなかった、つんくは、20世紀に別れを告げるため、バブルに沸いた昭和に別れを告げるため、モーニング娘LOVEマシーンという曲を歌わせ、90年代のウォウウォウに別れをつげた。
 
LOVEマシーン

LOVEマシーン

 

  

どんなに不景気だって
恋はインフレーション
こんなに優しくされちゃ みだら
 
明るい未来に 就職希望だわ
日本の未来は(Wow Wow Wow Wow)
世界がうらやむ(Yeah Yeah Yeah Yeah)
恋をしようじゃないか!(Wow Wow Wow Wow)
Dance Dancin’ all of the night
 
もう、ウォウウォウの時代は、終わった。
いつまでもウォウウォウの時代にしがみつくのでなく、
LOVEマシーンになって、21世紀の恋のインフレーションに身をゆだねようじゃないか
 
男女雇用機会均等法が施行された年に生まれた子供たちが中学生になり、
ウォウウォウと雄叫びをあげ昭和の価値観にすがる男たちを置き去りに、オーディションという競争に敗北した負け組の女の子たちで結成されたアイドルが恋愛至上主義を世に提唱した。
 
時代を変えたのである。
 
 
 
もうウォウウォウの時代はこないだろう。
 
今年再び、日経平均が連投し、かつてとは違ったWarが迫り来る雰囲気が世の中を覆い始めている。
 
いま、求められているのは、ウォウウォウを復活させることではなく、世界がうらやむ恋をすることだろう