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今の日本社会に足りていないのは狂気そのものである

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テレビがコンビニ化し、もはや面白い番組を作れなくなっている。
本来、芸とは狂気と背中合わせであり、ゴッホにしろ、モーツアルトにしろ、精神障害と紙一重であった。現代社会において、テレビで狂気を表現すると市民団体からクレームが来て、ネット上で炎上するしかない。つまりテレビはもう終わったのである。
 
そんな中、唯一、狂気を感じさせる番組ができているのがテレ東、1局である。
 

www.ninoude-punico.com

 
小池栄子松岡茉優假屋崎省吾らが山田孝之の起こす奇跡を見守る、という番組だったのだが、詳細は上記のブログが詳細にレポートしてくれているので、そちらに委ねる。
 
山田孝之は、俳優として唯一、狂気を表現しようとしている稀有な俳優である。
 
赤羽の頃から、この俳優の面白いところはモキュメンタリーの手法を使いながら、正常と異常の間を自由にさまようこのポジショニングである。
 
昔の映画やテレビには狂人が多く出ていた。
 
太陽を盗んだ男にしろ、狂い咲きサンダーロードにしろ、狂気を描いていた
 
太陽を盗んだ男 [DVD]

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狂い咲きサンダーロード [DVD]

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アウトレイジは面白いがビートたけしの映画は暴力を描きながら狂気は年々、薄まっている。
 
花火やソナチネあたりがビートたけしの狂気の最骨頂であり、アウトレイジ石井隆監督の後追いにしか過ぎない。
 
ソナチネ [DVD]

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そして、モキュメンタリーの傑作、ゆきゆきて神軍である。
 
ゆきゆきて、神軍 [DVD]

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山田孝之は、現代版、ゆきゆきて神軍として、テレビ番組の中で唯一、狂気を感じさせる番組づくりをしている。
 
狂気といっても犯罪者を見たいわけではない。毎日、毎日、30人の人を殺して食べていたロシア人夫婦の話や、核爆弾を打つぞと挑発しあう東と西の異常そうなリーダーのニュースを毎日聴いているが、そんなものを見たいわけではない。
 
つまり、現実がエンターテイメントを上回る狂気な世界というのが現代社会である。
 
現実は小説よりも奇なりというが、大衆が求めているのは、物語の想像力であり、壮大な狂気の世界である。
 
イーロン・マスクほどの異常な物語を紡ぎ出せている文学者が少ないのが現代社会のジレンマである。
 
山田孝之君には物語の想像力を生み出せる俳優さんとしてぜひがんばってほしい。