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日本経済復活のためには毎年1ヶ月の有給休暇を強制的に義務づければよい

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政府が働き方改革に力を入れていることにより、日本人の働き方に対する様々な議論がなされている。
 
特に取り上げられやすいのが、日本の労働生産性の低さであり、特にホワイトカラー、いわゆるサービス業の生産性の低さが問題になりやすい。
 
 
この記事でも取り上げたが、日本の過剰サービスが労働生産性の低さを招いているという一面があるだろう。
 
政府は、残業規制やプレミアムフライデーの推進などにより、ブラック企業や悪質なサービス残業の取り締まりの強化を行っているが、ほぼ有名無実化しているプレミアムフライデーを含め、残業規制は経済を不活性化し、デフレの温存を招いているように見える。多くの記事で指摘されているので繰り返さないが、残業規制は、残業代の減少、つまり実質給与の低下を招き、プレミアムモルツすら飲めないお父さんが増えている。
 
 
この記事では、すでに日本は先進国でもっとも休暇の多い国になっているのでサボりすぎでないかと書かれているが、これはサービス残業などの隠れた残業時間が一切入っていないので、まだ隠れた残業時間も入れると働きすぎの一面があるだろう。
 

toyokeizai.net

 
ドイツの生産性に学べという本もでていた。
 

 

残念ながら、まだ本書を読んでいないので、近くぜひ目を通したいと思っているが、日本経済復活のためには、残業時間を減らすというような甘い施策では意味がないというのが管理人の主張である。
 
毎年、全会社員に1ヶ月の有給休暇を義務づける
 
これが、日本経済復活のヒントだと考えている。
 
そもそも、管理人は、働き方改革などと国が働き方の方針を示さなければいけないこと自体がナンセンスで、働き方など各自が好き勝手に考えて変えればよいと思っているのだが、ネクタイを外して仕事をするのに政府の大号令が必要な国民性である。国が方針を示さないとことが進まないのであれば、法制化して義務づけすればよい。
 
なぜ、1ヶ月有給休暇を取ると日本経済が復活するのか。
 
まず、そもそも日本経済の状況を簡単に例えるとしよう。
日本経済の問題は働きすぎなことでも働かなさすぎのことでもない。
 
何に対して、一生懸命、働くかである。
 
人間、成果の出ること、将来性があること、拡大していること、夢があること、充実感を感じること、自己裁量権がある環境で働いていて、不満が出ることはあまりない。不満やストレスが出るのは、こんなこと意味があるのかと思うような仕事の内容を裁量権もなく厳しいルールや決まりごとの中で強制的にやらされるからである。あるいは、そういったストレスを溜めた人間関係の中で、陰湿なイジメやギスギスした人間関係に縛られるからである。
 
今の日本経済を例えてみると、こんな感じだ。
 
隣で、自動車が発明されたのに、いつまでも馬車の効率化をはかっている
 
どのような車輪であれば早く走れるか、早く走るためには馬に何を食べさせればよいのか、鞭の素材を何にすればもっと効率良く馬が走るか、そういったことを残業して必死で研究しているのが日本人である。馬車がどうすれば0.1秒早く走ったかどうかをエクセル方眼紙を駆使したグラフで一生懸命資料にし、それをFAXで送って、FAXを送られた方が残業しながら、上司に怒られながらひたすらエクセルに打ち込んでいく。そして、馬の走り方についてああでもないこうでもないと何時間も社員総出の会議を繰り返し、日本人のよいところは勤勉なところであると自画自賛しながら、精神論で馬車を作り続ける。
 
鞭を打たれながら、走っているのは、馬の方か人間の方か。
そして、自動車レースに馬車を出馬させて、圧倒的に敗北する。
 
誰でもわかることだが、本当に必要なことは馬を捨てて自動車を作ることである。
自動車が発明された段階で、どれだけ馬車の研究をしようが無駄な努力にしかならない。勤労を礼賛しようが、おもてなしの精神があろうが、神風を招く精神で努力をしようが、馬車を作り続ける限り勝ち目はない。
 
ゆとり世代のことがよく問題になるが、ゆとり世代は、自分たちが馬車を作らされているのをわかりながら働いているのに、上司より先に帰るなと言われるから不満を持つのである。
 
さて、話が長くなってしまったが、1ヶ月の休暇の話である。
現代の社会に慣れた日本人はそもそも休みを取るのが苦手である。
2、3日、国内旅行をして、温泉に入って、やっぱり家が一番ね、というのが日本人の典型的な休みの取り方である。あるいは、1週間くらいハワイかどこかにツアーで海外旅行をして、日本よりサービスがなっていない従業員を見ながら、日本のおもてなしは世界最高ねと安心するのがせいぜいである。そして、次の日に会社に行って、また愚痴をこぼしながら仕事をする。これが一番、日本人にとって安心感のある休みの取り方なのである。
 
おそらくどこかの党が、一ヶ月の有給休暇を義務づけるという政策を立案すれば、企業、国民ともに大反対が起きるだろう。
 
あれだけ、休ませろと言っていたのに、経済が落ち込むとどうするんだ、一ヶ月も休んで仕事が回るわけがないだろう。日本人はいつの間に勤労の精神を失ったんだ等々
 
つまり、国民全員で馬車を作り続けさせろと訴えるのだ。
 
人間、1ヶ月も休みがあると、色々なことを考える。
2,3日も休めば疲労は回復する。
あとは、暇すぎるので、勤勉な日本人は活動を始めるだろう。
海外旅行にいってもよい。ボランティアをしてもよい。普段できない他業界での短期インターンをしてもよい。奥さんの代わりに主夫をしてもよい。子供と一緒に毎日過ごしてもよい。滝に打たれて修行をしてもよい。普段できないアイドル活動をしてもよい。
 
いずれにせよ、1ヶ月の休みは、人生の見直しにつながるだろう。
 
海外旅行も1ヶ月も海外にいれば、単なるパッケージツアー以外の色々なことが見えてくる。マスメディアの報道とは違った海外のありのままの姿。何カ国も回るのもよいだろう。インドで瞑想を続けた結果、あまりにも日本で働くことが馬鹿らしくなって宗教的な世界に目覚める人も出るだろう。あるいは、短期間、知人の会社を手伝ってみて、そちらの事業の方が面白くて、退職してしまう人も出てくるだろう。主夫をすることで奥さんが毎日やっている主婦業の大変さを知って、家族に優しくなる人も出てくるだろう。何よりも高度経済成長が続く中国や東南アジアの活気のある街並みをみると大きな刺激を受けるだろう。日本はなんて古臭くて時代遅れのシステムで動いている国なんだと感じるだろう。
 
それでよいのだ。それが日本経済復活のための大きなヒントになるのだ。
 
今の日本経済に求められていることは、早く「馬車」を捨てることであり、「自動車」に当たるものを発明することである。毎日、朝から晩まで会社以外の場で過ごさないサラリーマンにTeslaやiPhoneは発明できない。感性というのは、日常生活とは異なる空間から受ける刺激で成り立っている。高度経済成長期が終わり、革新的な商品やサービスを生み出していくことが望まれている時代には、強制的にでも感性を刺激する仕組みが必要なのだ。
 
1ヶ月の長期休暇は、一見、企業にとってデメリットにしかならないように見えるが、実は、企業にとってもメリットがある。
 
まず、属人化された仕事のオペレーション化である。
リクルートなどは意図的に部署移動を行うことで、仕事が属人化しないような工夫をしていると聞くが、1ヶ月くらい誰かが休んでも、仕事というのは案外回るものである。日本企業は今後、グローバル化をしていくうえで、このオペレーションシステムの確立というのが大きな課題になる。いつ、誰が働いても一定のアウトプットが出る仕組みの確立。これができないとグローバル企業にはなれないだろう。相手が外国人だろうが、老人だろうが、未経験者だろうが、一定のクオリティを担保できる仕組みが必要である。言わずもがな、マクドナルドやセブンイレブンはこのシステムで巨大企業となった。あうんの呼吸で話が済んでしまい、忖度が重んじられる日本企業にもっとも不得意なことである。
 
誰が必要な人材で誰が不要な人材かもよくわかるようになるだろう。
不要な人材は辞めてもらえばよい。
逆もまた然りである。1ヶ月休みを取らせたら誰も帰ってこなくなる事業も出てくるだろう。いわゆる馬車を作り続ける事業である。これが会社であれ、事業であれ、もう用がなくなったものである。こういった事業はさっさと廃業させたほうがよい。
 
廃業率と失業率が高くなるではないかという議論もあるが、今の日本社会に必要なことは新規産業の育成である。政府が同時に手厚い新規事業育成のための積極的な規制緩和を行い、セーフティネットの整備とともに成長産業への人材転換を推進すればよい。
 
終身雇用を前提とし、終日、従業員を会社に貼りつけて、宗教的な一体感を生み出して、アメリカのモノマネをひたすらしていれば経済が成長した時代はもう終わった。会社に貼りつけておけば、社員は、隣で自動車が発明されたことに気がつかないだろう。
 
そういったごまかしはもう通じないのである。