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20世紀最大の発明とは何か?原子力爆弾・コンピュータ?

20世紀最大の発明とはなんだろうか?20世紀とは西暦1901年から2000年までを指すが、これは一つのディスカッションのトピックのような問いかけなので、正確性は問わないこととする。1800年代後半に発明されたものでも良しとするし、1995年頃から普及がはじまったインターネットも含めてよいものとする。
 
様々な意見があるだろう。
 
原子力爆弾
 
コンピュータ
 
飛行機
 
etcetc……
 
「20世紀最大の発明」で検索をかけてみると面白い。
 
 
教えてGoo」で同じような問いかけがなされている。
 
コンピュータ、抗生物質トランジスタ原子爆弾ダイオード半導体)、化学肥料、インターネット、集積回路
 
 
ビル・ゲイツが「今年読んで良かった本7冊(2013)」で取りあげている「コンテナ物語」では20世紀最大の発明を「海上輸送コンテナ」というユニークな視点を提示している。
 
 
この記事では、20世紀に発明された71の偉大な発明という動画の中から10個を紹介している。
 
そういえば、ポリエチレン(プラスチック)やDNA(遺伝子操作)も20世紀の発明だ。あまりにも、身近な言葉や存在になりすぎて、それが20世紀に「発明(発見)」されたことすら忘れてしまいそうになる。
 
そのほかにもカップラーメン(インスタントラーメン)なんていう意見もある。
 
確かにカップラーメンも食に対する概念を変え、水と火さえあれば狩猟や栽培に頼らずとも人間が生き続けられる手段を提供した偉大な発明のひとつだろう。
 
この問いは何をもって「20世紀最大」を定義するのかによって捉え方が異なるため、正しい答えはない。普及人口、後世へのインパクト、救った人口の数、社会構造の変化への影響力、いろいろな観点があるだろう。
 
個人的には、21世紀以降への影響力とこれからの発展性という意味合いを踏まえると、20世紀最大の発明は20世紀後半に生まれた「コンピュータ」を本命と考える人が多いと思うが、ここではあえて、「テレビ」(マスメディア)としてみたい。
 
テレビは、近代国家の各家庭に潜り込み、国民の世界や自国に対するイメージをコントロールする装置として絶大な影響力を与えた。人間は物語がないと世界を一定の構造をもった対象として認知ができない。このことを利用したのが、ハリウッドなどのエンターテインメント映画だが、「善」と「悪」を明確にわけ、何が善か何が悪かの倫理基準を提供している。
 
これを啓蒙と呼ぶのか、洗脳と呼ぶのか、プロパガンダと呼ぶのか様々な捉え方があるだろうが、いずれにしても、それらは、「認知」に変化をもたらすツールである。
 
テレビが生まれる前、この役割を担っていたのは、宗教施設であった。
 
つまり、テレビは宗教装置なのである。
 
 
一人の首相の先進的な経済政策により、日本社会が復活するという物語
 
一人の狂った若いリーダーが偉大な大国にミサイルを打ち込もうとする物語
 
中東の偏った宗教観をもった若者が世界中でテロを行う物語
 
 
今日もまた、多くの物語がテレビに配信され、なにげなく見ている多くの国民の世界に対するイメージをコントロールしている。見ている方はコントロールされているとは思わない人が大半だろうが、戦時中にはマインドコントロールの研究はほぼ完了しており、そのノウハウが現在まで適用されているのが現代社会ということがいえるだろう。
 
国家のリーダーがもっとも恐れるのは他国からの侵略でなく、自国の国民の反乱だという説がある。自国の国民の支持を失うと国家は自ら崩壊する。
 
そのため、20世紀の大国のリーダーは、共産主義国家が世界中を侵攻し、国民の自由を奪う社会がもたらされるという物語を必要とし、また、大きな共産主義国家が自壊した後には、自由貿易を制限することで偉大な国を復活させるという物語を必要としたのだ。
 
近代国家の完成はテレビによってもたらされ、テレビによって維持されている。
 
中東の狂ったテロリストたちを倒すための物語に乗せられて、とても美しかったシリアという国が廃墟になっていくのを眺めながら、この装置が20世紀の社会にもたらした影響の大きさを考える。
 

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